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保険料が「本当に負担になっているのか」検討を

事業で利益を上げるために、売上を伸ばしていくことともに、費用を削減して利益率を上げていくことも必要です。

利益率のよい経営を行っていると、銀行や投資家の信頼も得られやすくなります。

しかし、どんな費用でもやみくもに抑えればいいという問題ではなく、直接利益につながらない費用でも、経営にとって重要な費用というのは存在します。

簡単な例として「人件費を抑える」という方法は、あまりに濫用しすぎると社員のモチベーションが下がり、かえって生産性が落ちてしまうことになるので、要注意です。

労災保険に関しても「人に関わる保険」であるだけに、慎重にならなければいけないでしょう。

また、経営者の方は労災保険だけではなく様々な保険料の支払い、所得税・法人税、消費税などの納税、銀行を相手とする資金繰りなどに追われていて「支払のことばかり考えている」という状態が精神的負担になっている場合もあります。

経営者の方には「お付き合い」を求めて近づいてくる人がいますので、ついついあちこちに銀行口座を開いてしまうこともあります。

すると「どの口座に、いつまでに、いくらの資金を用意すればいいのか」が分からず、支払日が迫ってから資金をばたばたと移動しなければならない、ということもあるのです。

まず、事業に使用する口座の数を絞り込み、使わない口座と線引きをしてしまいましょう。

そして「納税・支払い」のタイミングを一覧表にまとめておき、資金の予定を立て、準備をしやすい状況を作っておきます。

毎月決まって支払いのあるお金については、常に意識しているものですが、半年、1年、あるいは数年に一度の支払いのものについても、分かるようにしておきましょう。

こうすることで「納税・支払い」に関する心理的な負担感が減りますし、本当に削減すべき費用は何かが見えてきます。

その上で、労災保険の保険料を抑えることが必要だという場合には、保険会社・代理店の担当者に現状を伝え、相談をしましょう。

労働基準法や労働安全衛生法などは改正が行われることもあり、経営者として新規事業を始める・不採算事業をやめるという決断をした場合には、労災保険で必要な補償も変わってきますので、必要な補償についても見直しを行いましょう。

以上のように、事業全体の収支の状況を把握するためにも、「どの金額の支払いが、いつまでに必要となるのか」を、一覧表にするなどして分かりやすくしましょう。

さらに、銀行口座の数は絞り込んで、収支が見えやすい環境を作りましょう。

そのうえで、本当にコスト削減が必要な費目を把握し、専門家にも相談をしながらコスト削減を行っていくことが重要ですね。

政府労災の給付内容とは?

労働災害が起こった場合、被災者はまず政府労災の給付を受けることになります。

政府労災の給付内容は次のようなものです。

・療養(補償)給付
・休業(補償)給付
・障害(補償)給付
・遺族(補償)給付
・葬祭料(葬祭給付)
・傷病補償年金(傷病年金)
・介護補償給付(介護給付)
・二次健康診断等給付
・社会復帰促進等事業の特別支給金

労働者が業務上や通勤途上等において負傷した場合、事業者や現場に居合わせた人は、まずは救急車を呼ぶことになります。

そして、労働者は療養(補償)給付を受けることになり、医療費の負担ゼロで治療を受けることができます。

療養(補償)給付は、労災指定医療機関等において、原則として医療の現物支給という形で給付が行われます。

労働災害に遭い、身体的・精神的に大変な思いをしている労働者には、まず「医療費の心配をしなくていい」ということを話して、安心させることも大切です。

もし、近隣に労災指定医療機関がなかったり、労働者のケガや病気の状況がせっぱつまっており、労災指定医療機関を受診できなかった場合には、被災者がいったん医療費を負担し、その後、医療費が支給されるという仕組みもあります。

また、労働災害によるケガなどが原因で、休業しなければならない場合には、1日につき給付基礎日額の60%に相当する額を受け取ることができ、これを休業(補償)給付と呼びます。

休業(補償)給付には「待機期間」があり、休業3日目までは給付が行われないことになっています。

障害(補償)給付は、労災事故の傷病が治ったあと身体に一定の障害が残った場合に支給されます。

この他にも様々な給付が行われている政府労災ですが、残念ながら被災した労働者の生活を立ち行かせるのに十分な額とまでは言えません。

医療費がかからない場合でも、これまで受け取っていた給料の60%程度の収入しか得られないとなると、経済的に大変困るという労働者もいます。

また、身内がケガをした・病気になったという場合は、ご家族が細々とした出費をしなければならないこともあります。

労働者が安心して療養できるよう、事業主としては民間の労災保険を利用し、従業員に手厚い補償を行えるよう、準備しておくことが必要でしょう。

また、労働災害に関しては、労働者が堂々と意見を主張する時代となり、法律の専門家を立てて争う、裁判所に争いを持ちこむというケースも増えており、民間の労災保険の中には「弁護士報酬、訴訟費用などをカバーできる特約」を用意しているものもあります。

政府労災と民間の労災保険

そもそも、労働災害(略称:労災)とは、次のようなものです。
●業務災害......労働者の業務上の負傷・疾病・障害・死亡
●通勤災害......労働者の通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡

業務災害と認められるかどうかの判断は、労働者の負傷などに業務遂行性、業務起因性があるかということをもとに判断されます。
●業務遂行性......業務の中で発生したケガ・病気であるかどうか
●業務起因性......業務がケガや病気の原因となっているかどうか

この両方が認められた場合に「業務災害である」と判断されます。

昨今は「脳梗塞や心筋梗塞を起こしたが、それが過重労働などに起因するものであると認められるかどうか」が裁判で争われることが増えています。

労働災害と認められ場合は、被災者は療養(補償)給付をはじめとする様々な給付を、政府が運営する労災保険から受けることができます。

なお、政府労災は労働者を1人でも雇用している事業主は必ず加入しなければなりません。

「労働者」には、試用期間中の者、さらに海外出張者、日雇労働者、外国人労働者(不法就労者も含む)などが含まれます。

また「1人でも」の部分には、正社員・正職員だけではなく、パート、アルバイトなど様々な雇用形態の人が含まれます。

逆に「労働者」に該当しない人、たとえば企業の役員や役員の家族従業員、下請け・孫請けなどの業務請負人、建設業界等の一人親方として働く人は労働者には該当せず、補償を受けることができません。

最近は、建設業などに従事する1人親方のために、政府労災の特別加入が認められていることが、注目されています。

とはいえ、政府労災は「必要最低限の補償を行う」ものであり、本来は労災事故を起こしてしまった事業主が負うべき賠償責任を肩代わりする性質のものです。

重大な事故であればあるほど、労働災害に該当するかどうかの認定まで、非常に時間がかかったり、企業の損害賠償責任を問う裁判に発展したりする場合もあります。

事業主としては、政府労災だけに頼ろうとすると、労働者は十分な給付を受けられず生活が立ち行かなくなったり、対応に時間がかかりすぎて、労働者の感情がこじれてしまったりします。

そのような場合に備えて、民間の労災保険に加入し、労働者への補償を手厚く行えるようにしておくという方法があります。

保険料を支払わなければならないのですが、不測の事態が起こった場合。雇用している人々に十分な補償を行うとともに、事故対応を保険会社にまかせることができ、安心感が得られるようになります。

労災保険と保険料

労災保険は「事故が少なかった事業者ほど安く」「事故が多かった事業者には多く」保険料を負担してもらう仕組みになっています。

政府が運営する労災保険にも「メリット制」が採用されています。

労災保険の保険率は、事業の種類に応じた災害率、災害の種類、作業態様等にもとづき定められることになっていますが、かつて事故を起こしたことがある事業場には労災保険率を高めに、事故がなかった事業場ほど労災保険率が低めに変動する仕組みを採用しています。

メリット制は、常時100名以上の労働者を使用する事業とされています。

政府労災だけではなく、民間の労災保険に加入する場合には、保険金を請求する回数があまりに増えると、次の更新ができない、更新はかろうじてできたとしても保険料が高くなるなどのトラブルが起こることがあります。

昨今は「安全配慮義務」という言葉が知られるようになり、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と、労働契約法という法律において明文化されています。

具体的には労働安全衛生規則において、
「事業者は、機械の原動機、回転軸、歯車、プーリー、ベルト等の労働者に危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い、囲い、スリープ、踏切橋等を設けなければならない。(101条1項)」
「事業者は、高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない(519条1項)」
などの定めがあります。

「労災保険に加入しているから安心」というだけではなく、できるだけ労災事故を起こさないよう、労働者の健康や職場の安全衛生管理を徹底していくという姿勢が必要でしょう。

労働災害に関しては、もしも労働者の側が訴訟を起こし、企業側が裁判で負けてしまったという場合に、損害賠償金額が多額になる傾向があります。

死亡事故であったり、労働者が高度障害の状態になったりした場合にはなおさらです。

被災者に対して「できるだけ早く、誠意のある対応をする」「金銭的な補償を十分に行う」「再発防止策を提示する」などの方法で、被災者側の感情を鎮めることができれば、問題を最小限に抑えることも可能になります。

「保険へ加入していて金銭的な備えができている」という安心感と、損害保険会社・代理店という事故対応の相談相手を得ているという事実が、迅速な対応を可能にするという面もあるのです。

通販型契約の長所と注意点

任意労災・上乗せ労災は、ネット上で契約を済ませることができる通販型保険が発売されています。

通販型保険を契約する際には、対面販売の保険を契約する場合に比べて注意点があります。

まず、損害保険契約を結ぶには、
●損害保険会社(担当者)に直接契約をする方法
●損害保険代理店で申し込む方法
があります。

そして、損害保険会社、代理店の中には、インターネットですべての契約を済ませることができるサービスを提供しているところもあります。

通販型保険の特徴は「手軽に契約を結ぶことができる」という点であり、「ともかく労災保険に加入して、備えをしたい」という人ほど、手軽に契約を結ぶことができるインターネット通販は便利だと思えるかもしれません。

しかし、注意点もあります。

通販型保険は誰とも相談せず、契約希望者自らが契約の内容を確認し、納得して契約を結ばなければなりません。

貴社にとって必要な補償が、得られるのかをきちんと確認しなければならず、そのためには対面販売の保険で損害保険会社の担当者・代理店と話し合っていくほうが、漏れや抜けがない場合が多いのです。

また、万が一労災事故が起こってしまった場合、損害保険会社の担当者・代理店とすぐに連絡が取れることが必要ですが、通販型保険の販売代理店とは「不測の事態の際に電話がつながらなかった」というトラブルも、実際報告されています。

さらに、労災事故は単独で起こるのではなく、自動車事故や火災、通行人などの第三者に怪我をさせる、などの複数の事故が同時に起こっていることもあります。


様々な不測の事態に備えられるよう、まずは「貴社が必要としている補償は何か」を理解し、複数の保険契約を組み合わる、特約をつけるといった方法で補償を得ておきましょう。

通販型保険の契約をしようとするなら、上乗せ労災・任意労災だけではなく、貴社が契約している保険の全体像を把握し、契約する人自身の正しい判断が必要とされることを、意識しておきましょう。

不測の事態が起こった際、必要な補償が得られないことになっては、保険契約の意味がありません。

労災保険は非常に重要性が高い保険ではありますが、業種・業態・事業内容などによって、他にも必要な補償というものがあります。

もしも、ご自身の判断だけでは必要な補償内容を得られる自信がないという場合は、対面販売式の保険を選び、保険会社の担当者や代理店とじっくり相談しながら、契約をするほうがいいでしょう。

通勤災害について

労働災害には、実は大きく分けて2つの種類があります。

それは業務災害と通勤災害です。

通勤中の事故やケガが起こった場合、「業務を行うために必要な通勤」であると認められた場合には、政府労災の給付の対象となります。

労災保険の給付が受けられる場合にあたる「通勤」は、「就業に関して、移動を合理的な経路、方法により行うこと」をいいます。

「就業に関して」とは、業務を行うために会社に行くということや、仕事を終えたために帰宅するということです。

たとえば、「休日にふと思い立って会社の近くまで行った」「帰宅途中に遊びに立ち寄り、遊びが終わってから帰宅する」などの場合は、通勤とは認められないことがほとんどです。

「移動を合理的な経路、方法により行うもので、業務の性質を除くもの」という部分は、通勤のために通常利用する経路で、と考えればよいでしょう。

「通常利用する経路」と認められれば、複数の経路があっても「合理的」と認められます。

また、「合理的な経路、方法」とは、公共交通機関、自動車、自転車などの方法を利用することや、徒歩での移動が含まれます。

「業務の性質を除くもの」とあるのは、業務の性質を含む場合には業務災害に該当するとされるため、通勤災害から除かれることとなっています。

また、「複数事業者の事業場間の移動」や「単身赴任者の住居間移動」についても、「通勤」であるとして、労災保険からの給付が受けられるようになりました。

「複数事業者の事業場間の移動」とは、複数事業者の事業場間移動2か所の事業場で働く労働者が、1つ目の就業場所で業務を終え、2つ目の就業場所へ向かう途中に災害にあった場合のことです。

また「単身赴任者の住居間移動」とは「単身赴任者が、赴任先住居と帰省先住居との間を移動している途中に災害にあった場合」のことを指します。

また、通勤の途中で経路から逸脱したり、通勤を中断した認められる場合には、逸脱・中断の間、その後の移動などは、通勤にはならないとされています。

とはいえ、日常生活で必要な物品を買うため、病院・診療所に立ち寄るためといった一定の理由・一定の行為であると認められたときは、合理的な経路に戻った後は「通勤」であると認められます。

通勤災害については、判断が難しいところも多いですが、労災保険の対象であることを従業員の皆さんに周知徹底して、万が一の場合に補償が受けられるよう計らう必要があるでしょう。

政府労災の待機期間とは?

政府労災の休業補償給付を受け取ることができるのは、「休業したために賃金を受けない日の第4日目」からであり、それまでの期間は待機期間として、受給することができません。

このことは、労災保険法第14条に規定されている内容で「労働者が業務上負傷し又は疾病にかかった場合、その傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日(休業日)の第4日目から休業補償給付を支給する」と定められているのです。

本来、労災事故を起こしてしまった事業主には、被災者に対する補償義務が課せられているのです。

第1日目から第3日目(待期期間)までは、事業主が平均賃金の60%を補償することになっています(通勤災害に関してはこの限りではありません)。

労災保険は、事業主に十分な資力がないといった理由で、事業主が労働者に対して補償を行うことができなかった場合に、労働者が不利益をこうむってしまうことを、できるだけ避けるという意味合いで設けられた制度です。

事業者は、休業第4日目以降について労災給付が行われた場合は、事業主はその補償義務を免除されると定められています。

とはいえ、政府労災の支給では足りない部分を、任意労災・上乗せ労災に加入して補償を得られるようにしておくことで、従業員に対して十分な補償を行うことができるようになります。

労働者にも様々な法律についての知識が浸透しているとともに、労働災害に遭った場合に弁護士を立てる、裁判に持ち込むといったことに抵抗の薄い人が増えています。

またインターネットの発達によって、一般人が多くの人に向けて、様々な情報を発信できる時代でもあります。

特に、訴訟沙汰に発展した場合には、支払いを命じられる損害賠償金の金額が数千万円から数億円にのぼることもあり、企業経営を続けていく上で大変な打撃となります。

このような場合に備えて、労災保険や使用者賠償責任保険などに加入しておくことで、事故対応が迅速に行えるようになり、労働者にとっても納得のいく対応ができるようになるでしょう。

労災事故だけではなく、昨今はPL法にもとづいて消費者が訴えを起こし、企業側に損害賠償責任が認められた場合の賠償金額が多額になったり、建設現場の近隣住民・隣接する住宅などに被害を与えてしまった場合の賠償金額なども、大きな額になることがあります。

労災保険に加入するだけではなく、様々な保険商品を組み合わせ、必要な補償を漏れなく得られるようにしておきましょう。

事故時の対応方法

労災事故が起きたら、まずは被災者の救護を行いましょう。

ケガ・病気の程度によっては救急車を呼ぶことや、最寄りの労災指定病院などで治療を受けてもらうということが大事になります。

労災事故であると認定された場合、被災者は政府労災の療養(補償)給付を受けることができ、被災者の自己負担はゼロとなります。

被災した方は肉体的に傷を負うだけではなく、精神的にも激しく動揺しているため、医療機関にかかることで費用の負担が生じないことを伝えて、安心させることも必要でしょう。

療養の給付は、労災病院及び都道府県労働局長が指定する病院等の「労災指定医療機関」で受けることが原則であり、労災指定医療機関で治療を受けられなかった場合には、費用の支給を受けることになります。

療養の費用が支給されるのは、
●療養の給付を行うことが困難な場合
●療養の給付を受けないことについて被災労働者に相当の理由がある場合
が該当するとされています。

なお、「療養の給付(医療の現物支給)」については、被災した労働者の請求に応じて直接実施します。

また、療養の費用の支給は被災した労働者が療養に要した費用をいったん立替払いし、その費用相当額を労災保険へ請求する形で受け取ることとなります。

療養の給付は「治ゆ」と呼ばれる状態になるまで、受けることができます。

この場合の「治ゆ」とは、
身体の諸器官・組織が健康時の状態に完全に回復した状態のみをいうものではなく、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
と定められています。

事業主の方は、事故の事実関係を把握し、損害保険会社、労働基準監督署、場合によっては消防、警察などに連絡しなければなりません。

そのため、事故の状況をメモに残し、現場の状況などを写真撮影するなどして、記録を取りましょう。

また「労災事故だけが起こっている」というケースは少なく、火災や車両事故など様々な災害が同時に起こっていることも多いものです。

「どの保険から給付を受けるのか」ということは、損害保険会社に相談しなければ分からないこともありますので、契約している損害保険会社には全て、連絡を入れなければなりません。

あまりにも多くの損害保険会社・代理店と契約を結んでいると、連絡先が多くなり混乱しますので、保険契約を結ぶ段階で契約の本数を多くしすぎないようにしましょう。

事故対応のためのマニュアルなどを備え付け、連絡の手順を確認しておくことが望ましいでしょう。

パート、アルバイトと労災保険

政府労災は「原則として1人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべて適用事業場となり保険関係が成立する」とされています。

そして「労働者」は「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」
のことですので、正社員・正職員だけではなく、パート、アルバイトなど雇用形態に関係なく、1人でも誰かを雇用する場合には、事業者側には政府労災に加入する義務が生じます。

また、アルバイトやパートで雇われた人が、雇用当日に労災事故に遭ってしまったといった場合も、労災保険の適用を受けることができます。

労災事故は「雇用された人が、作業に不慣れであった」ということが理由で起こってしまうことがあり、パート、アルバイトなどの人は入れ替わりが激しいこともあって、労災事故が起こると大怪我に発展してしまうことがあります。

また、政府労災の給付は必要最低限の内容に限られることもあり、十分な補償が得られないと感じる労働者も多いものです。

従業員に十分な補償を行うために、民間の損害保険会社が運営する労災保険で補償を得られるようにしておくといいでしょう。

民間の労災保険には、大きく分けて2つのタイプがあります。
●上乗せ労災......政府労災の給付を受けることが決まった場合に、その給付に上乗せする形で給付が受けられる保険
●任意労災......政府の労災認定の如何に関わらず給付が受けられる、傷害保険をベースとしたタイプ

また、せっかく労災保険に加入しても補償が受けられなければ意味がなく、特にパート、アルバイトの方は短期間で入れ替わることもあるので、労災保険のつけ忘れという事態は非常に怖いことです。

そのため、任意労災の中には、「無記名式」の契約方法があり、労働者が入れ替わっても自動的に給付が受けられる仕組みとなっているものがあります。

このようなタイプを活用して「働く人々が必ず補償を受けられる」という状況にしておきましょう。
パート、アルバイト以外にも、建設業・製造業などでは下請け、派遣、出向などの形で働いている人もいますが、民間の労災保険の場合は「下請け労働者なども含めて、補償の対象とする」という労災保険もあります。

貴社が補償を行うべき現場作業員・従業員はどの人なのかということを検討しましょう。

さらに、公共工事を請け負う場合には、経営事項審査などで加点を受けられる労災保険もありますので、必要に応じてそのような保険を選びましょう。

使用者賠償責任保険の重要性

使用者とは「労働契約の一方の当事者であり、労務の提供を受け、賃金を支払う者」のこと、つまり雇用主のことを指します。

労働災害というのは、労働者だけの責任で起こるわけではなく、場合によっては使用者側の責任が大きいと認められ、裁判などで賠償責任を問われるケースもあります。

労働災害に対しては、労働者の権利意識が高まり、ブラック企業といった言葉も生まれていますし、場合によっては訴訟沙汰に発展するケースもあります。

そして、裁判で使用者側の損害賠償責任が認められると、支払いを命じられる損害賠償金額が多額に上るのが労働災害をめぐる裁判の特徴です。

そのような場合の損失をカバーする保険が「使用者賠償責任保険」です。

使用者賠償責任保険は、労働災害が起こった場合で、貴社が労働者に対して法律上の賠償責任を負った場合で、その損害賠償金の額が
●政府労災保険からの給付額
●自賠責保険等により支払われる額
●貴社の法定外補償規定に基づいて支払われる額
の合計額を超過した場合、超過額の部分を賠償保険金として給付する保険です。

なお、貴社に法定外補償規定がない場合には、上乗せ労災保険として機能することになります。

使用者賠償責任保険は、被災者への「慰謝料」、裁判に発展した場合の「訴訟費用」「弁護士報酬」などを給付してくれますので、賠償責任について裁判で争うべき場合にも、この保険から給付が受けられることとなります。

任意労災や使用者賠償責任保険に限らず、賠償責任保険の重要性は昨今、非常に高まっています。

訴訟に発展した場合、裁判所から命じられる損害賠償金額、慰謝料の金額が数千万円から数億円単位の多額の金額になることが多いからです。

また、従業員や消費者など「何らかの損害を被った人」が、インターネットを通して事故の状況や企業の対応などを暴露するというケースもあります。

企業側は、正しい対応方法が分からなかったり、言質を取られることを恐れるといった理由で、初期対応を誤ることがあり、すると被災者は企業の対応に不信感を持つため、騒ぎを大きくしてしまうということがあるのです。

適切な対応を取るためにも、賠償責任保険に加入し、金銭的な補償を得るとともに、損害保険会社という事故対応のパートナーを得ておくと、冷静になれるでしょう。

また損害保険会社や代理店に事故対応を任せることができ、経営者は企業の経営を続けていくことができるのも、保険に加入することの大きなメリットです。

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