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入社前に研修を行うなら注意したいこと

「労働災害」について様々な訴訟が起こっている現在ですが、たとえば「入社前の研修期間に採用予定者がケガをした場合、それが労働災害と認定されるのか?」と問われると、正解が分からず戸惑う、という経営者の方も多いものです。

労災認定が受けられるかどうかは「その期間が労働時間と認められるか?」「研修に参加している人が、労働者と認められるか?」ということがポイントになります。

なお、これ以外にも業務起因性や業務遂行性などの条件がありますが、今回は「入社前研修という時期に独特のポイント」について検討することにします。

入社前の研修期間が労働時間と認められるかどうかは、いくつかの条件を満たすかどうかで判断されます。

・会社の指揮命令で行う研修かどうか
・採用予定者の参加が義務づけられているかどうか
・雇用者側が指定した場所と時間において行われる研修であり、その場所に一定の時間拘束されるような研修内容かどうか

そして、研修の参加者が「労働者である」と認定されるためのポイントとして、
・労務の提供がされている
・労務の提供の対価としての報酬が支払われている
ことが重要ですが、次のようなポイントが判断の分かれ目です。

・最低賃金以上の賃金を支払っていること
・研修内容が本来の業務と関係性が高いこと
・研修中は使用者の指揮命令下に置かれていること

入社前研修の時点で、正規の給与を支払う企業は少なく、むしろ交通費などの支給にとどめているといったケースも多いですが、そのような場合は「研修参加者が労働者である」と認められないでしょう。

入社前研修において、何らかの事故が起こり、ケガをした人がいた場合、労災認定を受けることができれば、労災保険を使うことができ、研修参加者の医療費負担はなくなります。

問題は、労災保険からの給付が受けられないときです。

研修参加者は、心情的には「社員のつもり」「労働者のつもり」になっていることがほとんどでしょうから、そのつもりで参加した研修で「まだ社員ではないから、労災保険は使えない」と言われた場合、精神的な落ち込みは相当のものでしょう。

「会社がきちんと対応してくれない」という印象が残り、入社後の士気や態度などに影響が出てしまうかもしれません。

研修参加者に間違いなく補償ができるよう、何らかの保険に加入しておく必要性、そして労働災害とは認められなくても、補償ができるようにしておくことの重要性を、企業側としては認識しておくようにしましょう。

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